と思っている高校生のみなさん!
今回は「徒然草の品詞分解と現代語訳で定期テストの高得点を狙う」についてみていきますよ。
✓内容
✓対象となる人
✓記事を書いた人
兼好法師はどんな人物?性格は?
【動画】「とよはし練成塾」塾長が話す!定期テスト古文のおすすめ勉強法は?
徒然草の作者は吉田兼好です。
鎌倉時代から室町時代の激動期を生きた人で歌を詠んだり随筆を書いたりしました。
京都の吉田神社の神官に生まれ、20才前後から朝廷で働き出します。(一説には「滝口の武士」として働いていたのではないかと言われています。)
しかし、このころの朝廷は、皇位継承をめぐる争いが続いており、先の見えない不安から出家して僧になる人が多くいました。
兼好も知識人として自由に生きたいと思うようになり、30歳で出家をします。(出家した理由は明確には分かっていません。)
また、彼は都のはずれに建てた庵で生活していました。そして、時には旅行をしたり、引っ越しをしてみたりと、自由気ままに生きながらも、自分の心と静かに向き合い、「徒然草」を書き著したのです。
また、吉田兼好の性格としては、
・女性嫌い
・内気でデリケート
・ひねくれた性格
であったそうです。
「徒然草」の内容は?
ア「徒然草」の内容は?
→約250編の文章から構成される随筆文学
「徒然草」は兼好法師が感じたことや思ったことをまとめた随筆(エッセイ)です。
全243段の随筆から構成され、上巻と下巻に分かれています。
内容は、吉田兼好が思いつくままに、生き方や友人、恋愛、仏道修行、自然などについて書いたものが中心です。
詳しい内容は以下の通りです。
②無常に関する段
③趣味論的な段
④求道的な段【真理や宗教的な悟りを求めて修行すること】
⑤人間観察的な段
⑥日常の教訓的な段
⑦有職故実に関する段【宮中にまつわる伝統的な行事・儀式などに関する知識】
⑧逸話や奇問【奇抜な質問】に関する段
⑨思い出や自賛に関する段
イ「無常観」とはどのような考え方か?
→「人間誰しもいずれは死ぬ。だから今を大事に生きよう」という考え
「徒然草」の根底にある考えは、「無常観」というものです。
無常観とは、「全てのものは絶えず変化していくものである」「この世のすべては幻で、仮の姿に過ぎない」といった考えで、それが「人間は死から逃れることはできない」ということにつながります。
そのため、命は限りあるものだと認識し、そのため充実した毎日を過ごすべきだという考えになっていきます。
兼好が生きた時代は、鎌倉幕府の権威が地に落ち、かつ朝廷も皇位をめぐって争いを続けていたため、人々は社会への不安を抱えて生きていました。
明日のわが身がどうなるかも分からないという戦乱の世において、鎌倉仏教と結びつき、「無常」という考えができあがったのです。
みなさんは、徒然草を読むときは、「無常観」という考えが根底にあるんだということを意識するようにしましょう。
「徒然草」の品詞分解・現代語訳は?
ここでは高校の古文の教科書によく出てくる「徒然草」の作品のあらすじ・原文・品詞分解・現代語訳についてみていきます。(教科書ガイドには品詞分解・現代語訳・あらすじなどが詳しく書かれていますのでこちらもおすすめです。)
*教科書は高校によって違いますので、今学校で使っている教科書のガイドを買うようにしてください。
なお、古文の定期テストで高得点を取るには、
・古典文法をマスターする
・下で紹介する解説サイトや教科書ガイドなどで話のあらすじをつかむ
といったことをしていくことが必要になってきます。
ア つれづれなるままに
→徒然草はこの文章から始まる
徒然草は、「つれづれなるままに、日暮らし硯に向かひて、心にうつりゆく由なしごとを、そこはかとなく書き付くれば、あやしうこそもの狂ほしけれ。」という文から始まります。
ここでは「独りだけの時間に何か一つのことに集中していると、しだいに現実感覚がなくなって不思議な世界に引き込まれる感覚がする」ということを言っています。
そのため、いつも誰かといるのではなく、時には一人になる時間を持つことが大切なのです。
「つれづれなるままに」の品詞分解・現代語訳 | 「つれづれなるままに」のYouTube解説動画 |
イ いでや、この世に生まれては
→学問と社交術を身につけることで人間として成長できる
兼好は「人は家柄や容貌は生まれつきでどうにもならないが、人間の知性は努力によっていくらでも向上することができる。」と言っています。
そこで男が身につけるべきことは、政治・法律に関する実学や漢詩・和歌を作る力や管弦楽器を演奏する力などが必要だと述べています。
兼好は品位のない人間をひどく嫌っていたのでした。
「いでや、この世に生まれては」の品詞分解・現代語訳 | 「いでや、この世に生まれては」のYouTube解説動画 |
ウ あだし野の露消ゆるときなく
→人の命は限りがある方がいいと言っている
昔、京都のあだし野や鳥辺山に霊園や火葬場がありました。
そこでは毎日煙が上っている(遺体を燃やしている)ことから、兼好は「人はいずれ死ぬものだ」と説いています。
この当時の平均寿命は30歳前後でした。
そのため兼好は、「40歳ぐらいで死ぬのが一番いい。長生きをしようとすると恥をかくことが多くなるからみっともない。」と書いています。
「あだし野の露消ゆるときなく」の品詞分解・現代語訳 | 「あだし野の露消ゆるときなく」のYouTube解説動画 |
エ 家居のつきづきしく
→家の住まいから住んでいる人の人柄が分かる
兼好は家の住まいからその人の人柄が分かると説いています。
立派な人物の住まいは、華やかさはないが風情のある感じがするものだが、そうでない人の住まいは、外国製・日本製の超豪華な家具類を並べたり、庭をいじりたおしたりして品がないと言っています。
いくら豪華な家に住んでいても永遠に住めるわけではないし、火事でも起きたらあっという間に無くなってしまうのです。
「家居のつきづきしく」の品詞分解・現代語訳 | 「家居のつきづきしく」のYouTube解説動画 |
オ 神無月のころ
→欲張りなところがなければよかったのにと嘆く場面
兼好がある年の旧暦の10月に栗栖野というところを通って、ある山里に入りました。
そこではひっそりとした雰囲気の庵がありました。
その景色に感動した兼好でしたが、よく見るとミカンの大木があり、ミカンを取られないように周りを厳重に囲ってありました。
その様子に失望した兼好は、「この木がなかったらよかったのに。」とつぶやきました。
「神無月のころ」の品詞分解・現代語訳 | 「神無月のころ」のYouTube解説動画 |
カ 九月二十日のころ
→家の住まいから住んでいる人の人柄が分かる
晩秋の9月20日のころ、兼好はある人と一緒に月見を楽しみました。
その途中、ある人は親しい女性のところに行くと言ったので、兼好はその人についていきました。
兼好はしばらく外で待っていると、ある人は家から出てきました。
しかし、兼好はすぐには行かずに、しばらく家の様子を見ていると、その女性は物思いにふけながら外を見ていました。
客が帰ったらすぐに戸を閉めるのではなく、しばらく余韻に浸っている様子に兼好は心を打たれたのです。
「九月二十日のころ」の品詞分解・現代語訳 | 「九月二十日のころ」のYouTube解説動画 |
キ 仁和寺にある法師
→山の途中にある寺や神社を目的地と思い込む僧を批判する話
仁和寺にいたある僧は、今まで石清水八幡宮に参拝したことがありませんでした。
そこで、一大決心をして八幡宮に行く決心をします。
この八幡宮は山の上にありますが、僧はその途中にある極楽寺・高良神社が八幡宮だと思い込み、そこでふもとに戻ってしまいます。
そして、仁和寺に帰ると同僚の僧に、「私は八幡宮に行ったが、他の人たちは山の上まで登っていったのはなぜだろうか。」と言いました。
そこで兼好はこの僧は案内者をつけるか、先に誰かに八幡宮の場所について聞いておくかすべきだったのにと言いました。
「仁和寺にある法師」の品詞分解・現代語訳 | 「仁和寺にある法師」のYouTube解説動画 |
ク 久しく隔たりて会ひたる人の
→話をするときの心構えについて説いた内容
兼好は会話のマナーについても説いています。
久しぶりにあった人が自分の話題だけをひたすら話すことは品がないと言っています。
また、聞き手が大勢いる中で、その中の一人に語り掛けるように話すことでみんながその話を聞くようになるとも言っています。
このように相手に何かを話すときは、相手を思いやって話すことが大事だと兼好は説いているのです。
「久しく隔たりて会ひたる人の」の品詞分解・現代語訳 | 「久しく隔たりて会ひたる人の」のYouTube解説動画 |
ケ 名を聞くより
→過去にあったかもしれないというあるある話
第71段では、
・物語を聞くときに、身近な人に置き換えて考えてしまう
・人が言ったことや、今目で見ている物は昔見た(聞いた)ことがあるものだ
という誰しもが経験したことがあることを述べています。
「名を聞くより」の品詞分解・現代語訳 | 「名を聞くより」のYouTube解説動画 |
コ 世に語り伝ふること
→「嘘」とどう付き合っていくかについて書かれた話
兼好は「嘘」についても説いています。
この世の中で広く伝わる話は大部分が嘘である、そのためこれらの嘘には深く関わらず話半分に聞き流すのがよいと言っています。
ただし、神仏の不思議な現象などは頭から否定するのではなく、寛大な態度で接することが大事だとも説いています。
「世に語り伝ふること」の品詞分解・現代語訳 | 「世に語り伝ふること」のYouTube解説動画 |
サ ある人、弓射ること
→「怠け心」がテーマの話
弓道を習う人がいて、作法通り2本の矢を手に持ち、的に向かって立ちました。
しかし、先生は、「2本の矢を持ってはいけない。それは1本目を外しても2本目があるからいいやという油断する心が芽生えるからだ。」と言いました。
これは勉強にも当てはまり、やろうと思った瞬間からすぐさま実行に移ることが大事だと兼好は説いています。
「ある人、弓射ることを習ふに」の品詞分解・現代語訳 | 「ある人、弓射ることを習ふに」のYouTube解説動画 |
シ 花は盛りに
→物事の始めと終わりこそに美学がある
桜の花は満開だけが美しいわけではありません。
今にも花が開きそうなときや逆に桜の花びらが落ちて散っている時も見る価値はあるのです。
また、男女の恋愛もただ相思相愛で結ばれている時が最高ではなく、失恋しているときや婚約が破棄されたときなども恋の深みは出てくると兼好は言っています。
「花は盛りに」の品詞分解・現代語訳 | 「花は盛りに」のYouTube解説動画 |
ス 悲田院の尭蓮上人は
→都会人と地方人の違いについて書かれた話
病人や孤児の世話をする悲田院を管理する尭蓮上人はもとは東国の武士でした。
その上人のもとに同郷の人がやってきて、「われわれ東国人は信用できるが、京都人は信用ができない。」と愚痴をこぼします。
その人に対し、上人は筋の通った話をして京都人のよさを訴えました。
それは上人は東国出身でありながら長い間京都に住んでいたため、京都の人のよさを知っていたからなのです。
「悲田院の尭蓮上人は」の品詞分解・現代語訳 | 「悲田院の尭蓮上人は」のYouTube解説動画 |
セ 世に従はん人は
→タイミングを見逃してはならない
世の中の動きにうまく合わせようとしたい場合はタイミングを見逃さないことが大切です。
しかし、病気や出産、死亡といったことは自分の力ではどうすることもできません。
特に「死ぬ」ことで言えば、いつ死ぬかもわからず急にやってくることもあります。
そのことを分かっていながらも「死ぬ」覚悟が備わっている人は少ないと兼好は説いています。
「世に従はん人は」の品詞分解・現代語訳 | 「世に従はん人は」のYouTube解説動画 |
ソ 丹波に出雲といふ所あり
→聖海上人が恥をかいたという話
京都には出雲神社があり、そこには見事な社殿が造ってあります。
あるとき、そこを支配している人から招待があったため、聖海上人を初めたくさんの人が神社に参詣をしました。
そこでは、神前にある獅子と狛犬が互いに背を向けて置かれていました。
そのため、聖海上人は「みなさんこれを見て何とも思わないのですか。この配置は何か理由があるに違いない。」と周りの人に言います。
そして、上人は神官に理由を聞くと、「あ~、これはいたずら小僧たちが勝手に向きを変えたんですよ。」と神官は言って、獅子と狛犬を元の向きに戻しました。
こうして上人が恥をかいたという話です。
「丹波に出雲といふ所あり」の品詞分解・現代語訳 | 「丹波に出雲といふ所あり」のYouTube解説動画 |