と思っている高校生のみなさん!
今回は「枕草子の品詞分解と現代語訳で定期テストの高得点を狙う」についてみていきますよ。
✓内容
✓対象となる人
✓記事を書いた人
清少納言はどんな人物?性格は?
【動画】「とよはし練成塾」塾長が話す!定期テスト古文のおすすめ勉強法は?
枕草子の作者は清少納言ですが、実はこの名前は本名ではなく、清原氏出身の少納言という意味です。
清原氏は代々学問・歌道に精通していており、父である清原元輔は「後撰和歌集」の撰者としても有名でした。
また、清少納言自身も幼いころから漢学も学んでおり、非常に教養の高い女性でした。
その後、一条天皇の中宮(後に皇后)となった定子に仕えるようになるも、定子の父である藤原道隆が病死すると、道隆の弟である藤原道長に権力が移り、定子の兄弟は失脚してしまいます。
定子がなくなると、清少納言も隠退して晩年は不遇な生活を送りました。
また、清少納言の性格としては、
・明るく気が強い
・繊細な一面もある
・くせ毛にコンプレックスを持っていた
であったそうです。(ライバルの紫式部は清少納言を非常に嫌っていたそうです。)
「枕草子」の内容・登場人物は?
ア「枕草子」の内容は?
→約300編の文章から構成される随筆文学
「枕草子」は清少納言が感じたことや思ったことをまとめた随筆(エッセイ)です。
そして、「枕草子」は大きく3つの内容に分かれます。
自然や人物について、清少納言が思ったことを書いたもの。全体の半数近くを占める。
【②日記的章段】
宮仕えの中で見聞きした出来事を示したもの。藤原定子とその一門の栄華を描いている。
【③随想的章段】
季節ごとの自然や人間関係について、自由に思いを巡らせて書き留めたもの。
また、「枕草子」は「をかし」という言葉が多用されています。「をかし」とは知的な感動を表す時に使う言葉です。(一方の紫式部の「源氏物語」は情緒的な感動である「あはれ」という言葉を多用しています。)
イ「枕草子」に出てくる登場人物は?
→主語の省略が多い作品なので、登場人物をしっかり把握しておこう!
次に「枕草子」に出てくる主な登場人物についてみていきます。なお、「枕草子」は平安時代の貴族の様子について描いた作品です。
清少納言 | 「枕草子」の主人公。主語が省略されることが多い。 |
定子 | 「中宮」「宮」。一条天皇の中宮(のちの皇后)で明るく美しく、ユーモアのある女性であった。 |
一条天皇 | 「帝」「うへ」。温和な性格で、詩が好き+音楽堪能+勉学にも励む人物。 |
藤原伊周 | 「内の大臣」「大納言」。美男子だが叔父にあたる藤原道長との権力争いに負けて大宰府に左遷された。 |
藤原道隆 | 「殿」「関白殿」。伊周・定子・道隆の父。絶大な権力を誇っていた。 |
藤原隆家 | 「中納言」。定子の弟。 |
藤原斉信 | 「頭の中将」。和歌や漢詩に精通していた文化人で、清少納言とはライバルの関係にあった。 |
藤原行成 | 「頭の弁」。気の合う友人であったが、周りの女房達には嫌われていた。 |
*「一条天皇」「定子」は身分が非常に高いため、最高敬語が使われることが多い。
*「頭の中将」「頭の弁」は天皇と中宮を結ぶ役割をしていた。
「枕草子」の品詞分解・現代語訳は?
ここでは高校の古文の教科書によく出てくる「枕草子」の作品のあらすじ・原文・品詞分解・現代語訳についてみていきます。(教科書ガイドには品詞分解・現代語訳・あらすじなどが詳しく書かれていますのでこちらもおすすめです。)
*教科書は高校によって違いますので、今学校で使っている教科書のガイドを買うようにしてください。
なお、古文の定期テストで高得点を取るには、
・古典文法をマスターする
・下で紹介する解説サイトや教科書ガイドなどで話のあらすじをつかむ
といったことをしていくことが必要になってきます。
ア 春はあけぼの
→枕草子は有名な文章から始まる
枕草子は「春は曙。やうやう白くなりゆく山際すこし明かりて、紫立ちたる雲の細くたなびきたる。」という文章から始まります。
この文では、季節の変化とともに時間の変化、自然から人事への変化など、さまざまな事象の変化について書かれています。
また、「曙」と「夕暮れ」、「夜」と「つとめて」などといったように対比が多いのも特徴的です。
「春はあけぼの」の品詞分解・現代語訳 | 「春はあけぼの」のYouTube解説動画 |
イ すさまじきもの
→期待が裏切られ白ける気持ちになるものの例を挙げている
「すさまじ」とは期待が裏切られ、熱意が冷めて、しらけた気持ちを言います。
清少納言はすさまじきものとして、
・春まで残っている網代
・牛の死んでしまった牛飼い
・学者の家に続いて女の子ばかり生まれたこと
といったものを挙げています。
「すさまじきもの」の品詞分解・現代語訳 | 「すさまじきもの」のYouTube解説動画」 |
ウ にくきもの
→腹が立つものの例を挙げている
「にくし」とは気に食わないという意味の言葉です。
清少納言はすさまじきものとして、
・酒を飲んでわめき、杯を人に押し付ける人
・少ししか知らないのにもともと知っていたかのように人に放す人
といったものを挙げています。
「にくきもの」の品詞分解・現代語訳 | 「にくきもの」のYouTube解説動画 |
エ 木の花は
→花の魅力を存分に書いている内容
「木の花は」はタイトル通り、花の魅力について書いている内容です。
紅梅、桜、藤の花、橘、梨の花の魅力についてまとめています。
これらの花は歌の題材にも使われていました。
「木の花は」の品詞分解・現代語訳 | 「木の花は」のYouTube解説動画 |
オ 中納言参り給ひて
→中納言とのやりとりについて書かれている
ここで言う中納言とは藤原隆家のことで中宮定子の弟です。
まずは中納言は姉である定子に、「扇の骨に合う紙を探している」と言います。
そして、「この骨は今まで見たことのないくらいすばらしい骨だ」と言いました。
それを聞いた清少納言は、「それは扇の骨ではなくクラゲの骨でございましょう。」と言います。(クラゲには骨がない)
それを聞いた中納言は、「今の内容はこの隆家が言ったことにしよう。」と言って笑いました。
「中納言参り給ひて」の品詞分解・現代語訳 | 「中納言参り給ひて」のYouTube解説動画 |
カ 九月ばかり
→九月の雨があけた後の自然の風景について書かれている
旧暦九月の頃(今の十月)の雨がやんだ次の朝について書かれています。
ここでは露に注目して自然の美しさを褒めたたえています。
「九月ばかり」の品詞分解・現代語訳 | 「九月ばかり」の品詞分解・現代語訳 |
キ 五月ばかりなどに山里に歩く
→京都の郊外の自然の様子について書かれている
旧暦五月の頃(今の六月)に牛車で京都の郊外に出かけたときの様子についての内容です。
当時、女性はめったに外出をしなかったので、外に出て自然を見ることは楽しみの一つでありました。
ここでは、生い茂っている草木、水たまりの水しぶき、木の枝が牛車に入ってくる様子などについて書かれています。
「五月ばかりなどに山里に歩く」の品詞分解・現代語訳 | 「五月ばかりなどに山里に歩く」のYouTube解説動画 |
ク 雪のいと高う降りたるを
→漢文の知識があるかどうかを確かめられた清少納言
冬のある日、雪がいっそう降り積もっている時に、女房たちは集まって物語をしていました。
その時に中宮定子が「少納言よ、香炉峰の雪はどんなのかしら?」と問いかけます。
その問いかけに対して、清少納言は格子を上げさせて、御簾を高く上げたところ、定子は微笑みました。
定子はある漢詩の内容を知っているかどうかを清少納言に確かめたのですが、その問いかけにぱっと返したことでほほ笑んだのでした。
「雪のいと高う降りたるを」の品詞分解・現代語訳 | 「雪のいと高う降りたるを」のYouTube解説動画 |
ケ 頭の弁の職に参り給ひて
→漢詩の内容を踏まえたやりとりが見どころ
藤原行成(頭の弁)は書の達人で、三蹟の一人でした。
清少納言とは仲が良く、お互いを認め合う関係にありました。
この「逢坂の関」では、「史記」の内容を踏まえたやりとりが見どころになっています。
なお、当時は漢文は男性が学ぶべきもので、女性に漢詩の知識があると「生意気だ」と思われていたようです。
そのため、清少納言はできるだけ漢文の知識をひけらかさないようにしていました。
「頭の弁の、職に参りたまひて」の品詞分解・現代語訳 | 「頭の弁の、職に参りたまひて」のYouTube解説動画 |
コ 宮に初めて参りたるころ
→初めて出仕したころにはとても緊張していた清少納言
ここでは、清少納言が初めて出仕するときの内容について書かれています。
最初は中宮定子とまともに顔を合わせられない清少納言でした。
そこで定子は気を使って清少納言に声を掛けます。
慣れてくると定子や兄・伊周に気さくに話すことができるようになりましたが、最初のころはどうも緊張をしていたようです。
「宮に初めて参りたるころ」の品詞分解・現代語訳 | 「宮に初めて参りたるころ」のYouTube解説動画 |
サ 野分のまたの日こそ
→台風の後の様子について思ったことが書かれている
野分とは台風のことで、ここでは台風が過ぎた後の風景について書かれています。
木が倒れ、枝が折られ、その後始末を若い女性がしている様子に風情があると評価をしています。
人も自然も完璧な状態よりも少し欠けたところに美があるのだということを清少納言は言いたかったのではないのでしょうか。
「野分のまたの日こそ」の品詞分解・現代語訳 | 「野分のまたの日こそ」のYouTube解説動画 |
シ うれしきもの
→うれしいものについての例を挙げている
「~もの」シリーズの「うれしきもの」についての内容です。
清少納言はうれしきものとして、
・歌の内容をとっさに思い出したとき
・急用で探しているものが見つかったとき
・物合や勝負事などに勝ったとき
・病気が治ったとき
といったものを挙げています。
「うれしきもの」の品詞分解・現代語訳 | 「うれしきもの」の品詞分解・現代語訳 |
ス この草子、目に見え心に思ふことを
→枕草子の最終文
「この草子、目に見え心に思ふことを」は枕草子の最後の文章となります。
最初はこっそり書いてましたが、それが外に漏れてしまった経緯などについて書かれています。
清少納言としてはただ思ったことを書いただけなので、それが外に出てしまったことに残念に思っています。
「この草子、目に見え心に思ふことを」の品詞分解・現代語訳 | 「この草子、目に見え心に思ふことを」のYouTube解説動画 |